形状誘導ヘルメット治療が広まっている

あたまの形を直すために、赤ちゃんにオーダーメードのヘルメットを作る治療があります。
アメリカで広まり、アメリカのヘルメットメーカーが日本にも進出しているという面もあります。
また、国立成育医療研究センターでは、2011年より「あかちゃんの頭のかたち」外来開設しています。成育医療では、ヘルメットも作製しますが、それ以前に育児習慣の見直し、積極的な体位変換、タクティールケア<理学療法のうち「タッチケア」が総称であり「タクティールケア」は1960年代にスウェーデンで看護師らにより低出生体重児を対象に始められたタッチケアを指す(日本スウェーデン福祉研究所のホームページより)>などを行うようです。
成育医療センター副院長で形成外科医の金子先生から、いろいろと伺いました。
ここではいろいろと調べたことをまとめています。
出産する間、あたまは形を変えます
頭から産まれる正常分娩では、赤ちゃんは妊婦さんの狭い産道を通って生まれてくるので、ひじょうに窮屈です。赤ちゃんの頭蓋骨は、母体の仙骨側の頭蓋骨が反対側の頭蓋骨の下に重なり、変形します。
(児頭の応形機能と医学的には呼ばれています)
ベテラン助産師さんによると、およそ35年くらい前は、初産婦から生まれた子は頭蓋骨の応形と産瘤で長い頭だった。(産瘤は子宮が児頭を圧迫するために、児頭の先進部に起こる腫れです)
それが、20年前頃になると、丸い頭の新生児が増え、産後に恥骨結合離開によって痛くて歩けなくなる産婦が増えたそうです。母親の骨盤周囲の筋肉は、かがむ姿勢の農作業などをしなくなってますから、現代人は鍛えられていない。そして、妊娠中はホルモンの働きで出産に向けて、女性の骨盤の結合がゆるみます。そして、骨盤周囲の筋肉が弱い現代人は、ゆるんだ骨盤が歪み易くなっているようです。すると、内臓下垂や子宮も変形、いびつになり、胎児もおされて窮屈な姿勢になります。
「生まれた時から、頭も顔もゆがんでいる赤ちゃんが増えている。珍しくない。
しょっちゅう見る」 助産師さんの話
(ブログ魔女のひとりごと・・・元病院助産師さんの渡部信子さま・・・より、一部引用改変)
こうして生まれた赤ちゃんは、多くの子が頭の変形を伴っています。ただし、時間がたつと改善していきます。しかし、このグラフは日本よりも頭蓋変形に敏感なアメリカの医学雑誌のデータです。
絶壁あたまは日本人の特徴だ、と思っているドクターもおられる日本ではどうでしょうか?
育児習慣の見直し・・赤ちゃんの向き癖、抱き癖を考える
- 抱っこする向きを変える
- 授乳する手を変える
- 頭の平坦な部位の反対側を向くようにする
- ベッドの向きを変える
- 赤ちゃんが興味をそそるモノをおく
- ガラガラ、ビデオなど
- チャイルドシート(車)赤ちゃん用シートに長く置かない
アメリカでは多くのヘルメットがFDA認可ずみ
現在、国内でヘルメット治療を実施しているのは、主に二つのグループに分かれると思います。
スターバンドというヘルメットが、米国のシェア35%だそうです。この会社は、日本でも事業展開しています。国内の取り扱いは、株式会社AHS Japan Corporationです。複数の医療機関と提携しています。ただし、ヘルメットを製作するのは会社になります。病院では手術治療が必要な頭蓋骨早期癒合症ではないことを、確認するのが主な提携内容のようです。下記の病院が窓口です。
- 北大病院 赤ちゃんの頭の形外来
- 宮城こども病院 脳神経外科
- 日本赤十字社医療センター
- 東京クリニック
- 浜田山病院
- 東京西徳洲会病院(脳神経外科)
- あいち小児総合センター 頭のかたち外来
- 西宮協立脳神経外科病院 頭蓋変形外来
- 福岡大学病院 頭の形外来
この中で、西宮協立脳神経外科病院さんは、スターバンドが国内に導入された初期からの提携病院です。定期診察を行っています。
Danmar社のヘルメットは、Michigan Cranial Reshaping Orthosis というタイプです。
国立成育医療センターが国内に初導入しました。このミシガン式ヘルメットは、医療機関が主導して、ヘルメットの形状を決めています。治療中のフォローも医療機関で行います。医療行為の一環となっています。それが、会社に任せるタイプと大きく異なる点と考えられます。病院で計測した頭の形態のデータをアメリカに送信し、ヘルメットの製作は米国内の工場となります。病院では、訓練を受けた装具士が装着の実際を行うようです。そして、医師もフォローしていきます。
- 成育医療センター 赤ちゃんの頭のかたち外来
- 大阪市医療センター 乳児の頭の変形外来
- 高槻病院 赤ちゃんの頭の形外来
ヘルメット製造会社によって治療対象月齢や効果もかなり異なるといいます。
国産のヘルメットは、東京女子医科大学病院が扱っています。この病院の頭蓋変形外来は、スターバンドの初期導入病院でしたが、その後、連携している国産のアイオメットネオになっています。
そのため、この国産ヘルメットは女子医大の脳外科のみで扱っています。